Love Eater



「この人、何?ソルトの知り合い?」

ようやく弾かれた六花の声音はいつもの様な喜楽はなく。

ソルトでさえ馴染みのない声のトーンに感じられるのは警戒、威嚇、拒絶と言った負の感情が主だろう。

ゾッとするくらいの冷たい声音は響きばかりは興味をチラつかせるが、声の質はどこまでも無興味を感じさせる。

蓮華に向かう眼差しも表情もだ、ソルトに焼き付く六花のそれらではない。

突然狙撃されたのだから当然の反応とも言える。

それでも、六花の一瞬の変貌には蓮華の奇襲より驚愕で衝撃的で、思わず瞬きも忘れてフリーズしてしまうソルトがいたが。

六花の普段を知らぬ蓮華には向けられる冷徹に特に何の情も感じる事もない。

寧ろ気になったのは、

「ソルト?ああ、もしかしてそれが二人っきりの時の愛称ってやつ?いるよね~、傍から見たらすげえ痛い愛称で呼び合うカップル?」

「違ぇよ!そいつはただ単に俺の名前知らねえだけだボケッ!!」

「あーらら、そなの?へえ、本名も教えてもらえないくらい残念な片想いだったんだ?魔女子ちゃんも可哀想に」

「蓮華、てめえはっ!」

「フフッ、それにしても噂に違わぬ実に美味しそうな魔女子ちゃんだね。推定Eカップの魅惑ボディに似合わぬベビーフェイス。基本露出の低いジャージワンピースなのに垣間見せる肌具合が逆に欲を擽るよね。あと……その下の下着事情も」

「蓮華っ!!」

「フフッ、今日も布面積極小のパンツ穿いてるなら俺に脱がされてみない?お堅くて真面目な【ソルト】君と違って俺は臨機応変に神父の立場とか放棄して楽しむタイプだけど?」

「おいっ!!蓮…」

「黙れよ下衆」

「っ__!!!!?」

「わぉ、お口が悪いとこもなかなか可愛いギャップだぁね」

能天気でマイペースな反応をする蓮華とは真逆。

六花のどこまでも冷え切った言葉の刃の餌食となったのは向けられた蓮華ではなくソルトの方。

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