part-time lover


体の動きに合わせてあふれる自分とは思えない声と、ベッドの軋む音が部屋に響いた。

恥ずかしさよりも、今これだけ気持ちが高まっていることや、全身で陽さんを感じていることを伝えたい思いがまさって、彼の顔をじっと見つめた。

歪めた顔で切なそうに微笑む様子が、余計に胸を締め付ける。

「そんな可愛い顔で見られたら、もう無理かも」

この状況でそんなことを言われたら、こちらの方が限界だ。

「私もです」

なんとか発した私の言葉を合図に彼が顔を首元に埋めて、動きを速めた。

それに応えるように、私も絡めた指に力を込める。

昇りつめる感覚がピークに達したタイミングで、彼が堪えきれず甘い息を漏らした。
それと同時に私も頭が真っ白になる。

彼の速い心臓の音を聞きながら、深く息を吐いて快感の余韻に浸った。

少しずつ意識が現実に戻って、体を離した彼と目を合わせた。

何か言葉を発しようと思っても思いつかず、目を細めて穏やかに笑ってみせた。

彼も彼で何か言いたそうに思えたけど、情けなく笑った後に軽くキスをされた。

その直後衝動的に彼の顔に手を伸ばして、いつも通り、濡れた彼の髪に手を伸ばして優しく撫でた。

照れ臭そうに、けど満足そうに微笑む陽さん。

「透子ちゃん、ありがとう。
あと、そうやって髪撫でてくれるの結構好きなんだよね」

「なんとなく気づいてました」

いつもこうすると、愛おしそうに顔を埋めてくるから。
その理由は教えてはあげないけど、私もこの時間が好きなことは伝えてあげてもいいだろう。

「うそ、自分分かりやすすぎない?」

いきなり冷静になって焦る様子が面白い。

「そうかも。けどこの瞬間、いつも少し陽さんが幼くなって可愛いなって思うんです」

「なんてリアクションすればいいか分かんないんだけど…」

「素直に喜んでいいですよ」

「うーん、なんだか複雑な気分」

腑に落ちない様子の彼を見て思わず吹き出した。
ムードを作りすぎないこの感じも、私の好みなんだよなと自分のうちだけで再認識した。

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