part-time lover


彼を待つ数分間が果てしなく長かったので、気分転換に有線をかけた。

自分が生まれるよりもずっと昔に流行った海外のブラックミュージックが流れる。

単調なメロディとグルーヴのある演奏が少しだけ心を落ち着けてくれた。

残ったビールを飲みながら控えめに鼻歌を歌っていると彼の笑い声が聞こえてふと我に帰る。

笑い声の方に目をやると、男らしい胸板や腕に胸が苦しくなった。

「随分昔の曲も知ってるんだね、さすが音楽好きってさっき言ってただけあるな」

「すいません、いつもの癖で」

顔が熱くなるのはお酒のせいではなさそうだ。

「リラックスしてくれてるならよかった」

「あ、音楽消したほうがいいですか?」

「いいよそのままで。俺も仕事中ずっとラジオ聴いてるから音があったほうが落ち着く」

「わかりました。私もシャワーいただきますね」

「いってらっしゃい」


ビジネスの関係なのに、相手の隠しきれない人の良さというか、物腰の柔らかさのせいで完全にペースを乱されるとこだった。

シャワーで冷静になって後はすることをするだけ。

そう自分に言い聞かせて、熱いお湯を軽く浴びた。

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