稲荷と神の縁結び
そんなことも知らない禰宜さんは、私が罪悪感を感じるほどの笑みと安心した顔をしている。

「圭吾さんのご友人ならば、圭吾さんもご納得のお人でしょうね。私も少し、安心しました」

「禰宜さん……まだまだ気が早いですよ」

「まぁそうですが、いい話ではないですか。
なんせ時松の皆さんはあの場所を守る重大な役目がありますからね。特に圭吾さんは跡継ぎなので…圭吾さんの義弟になる人は信用できる人でなければいけないでしょう？元々がご友人ならば、何の問題もないでしょうし。
しかも社長さんとは！経営者に嫁ぐとは、一家にとっても名誉なことではないですか。
いやーうまいことやったじゃないですか」

にこやかに話す禰宜さんに対して私はうんざりとして顔がひきつる。やっぱり姑根性が甚だしいという言葉は間違ってはいない…という思いを隠すのに精一杯。
横目で少し清貴さんを見ると‐やっぱり私と同じように、どこかひきつった表情を隠しきれていない。
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