稲荷と神の縁結び
第一そんな全てを投げ出した先で、本当に幸せになれるとは思ってもいない。
こんな産まれも…全てをひっくるめて私であるのだ。

「清貴さん、うちの神社に行きませんか?多分、お裾分けで野菜がいっぱい貰えますよ?
まさに神からの恵みですよ!」

そう言うと、清貴さんはクスりと笑った。

「お前は食い物の話ばっかりだな……」

「失礼ですね」

「や、いいんじゃね?そういうとこも好きだぞ」

さらっと言い放ち、歩いていく清貴さん。

いや…………さりげに…何かすごいことを言われた気がするんですけど!
私は動揺して心臓がバクバク鳴るが、隣の清貴さんは全く動じていない。

まぁ彼にとっては犬猫とか動物を可愛がるみたいな、そんな感じに近いのかも…


「…………って清貴さん」

「何?」

「うちの人たちに……禰宜さんに言ったこと、どうすれば…………」

きっとすぐにでも‐あのネットワークによって私達のことは出回るであろう。
どうみんなに説明すれば良いのか。


「別に、ほっとけばいいんじゃね?」

「それは……」

「適当な頃合いを見て、別れたって言えば不信に思わんだろ?性格の不一致とかで」

「いや、そうですが……」
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