稲荷と神の縁結び

まぁうちの家族にはこういうことで…と説明すれば良いが、私が婚約破棄されたってのはひょっとして末代までずっと噂に……

「何なら、結婚するか？本当に」

「………へ？！」

それは、つまり…

「偽装結婚ってことですよね。さすがに、それはちょっと……」

「別に、こはるが相手なら不足ではないけど。
俺の母親も喜ぶぞ」

「でも、それは……絶対にダメですよ！！
今まで断り続けてきたのが水の泡じゃないですか！！」

ずっと仕事に集中したいと言って、縁談を断ってきた清貴さん。
ここまできたからには…本当に妥協しない人を選ばなければ、私も浮かばれない。

「清貴さんがちゃーんとお目に叶う人を見つけることは、私の悲願でありますから！
是非とも…あの当時のメンバーに結婚生活の良さについて語っていただきたいんですからね！」

あの説教のように結婚生活の素晴らしさを懇懇と語られていたのを、是非とも『本当だった』と言わせてみたいのだ。