稲荷と神の縁結び
あの噂には聞いていた、どうしようもない長男か……。
四十をとうに過ぎているが実質ニートで、工場の名ばかりの役員状態だったはず。


「それで今いちかちゃん、一心不乱に白玉粉をこねてるの……何人前作る気かしら…………」

「どうせ食べるし好きなだけやらせとけばいいよ。そろそろ年始の話し合いで分家の人たち結構来るし、お茶菓子で出すから」


要するに……ちかは相当ブチギレているようだ。
顔を合わせるのが怖い。


「あれ、こは一人?清貴は?」

「まだ宴会終わってないと思ってたから、外で待ってもらってるんだけど」

「昼飯まだなら食べる?結構余ってる」

「じゃぁそうする。呼んでくるね」

「じゃぁ俺も行く」

そうして私と圭ちゃんは清貴さんを呼びに、外に出た。

「生活どう?上手くやってるとは思うけど」

「多分……てか、何でそう思うの?」

圭ちゃんには一度も報告はしていないのだが…。特に清貴さんからも圭ちゃんの話は出ないし。

「多分ね、相性はいいと思うんだよね。あの家と」

相性?
圭ちゃんは何を根拠に言ってるのだろうか。
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