稲荷と神の縁結び
あぁ、どうしよう。
バクバクと心臓の音がうるさいけど…何だか大きな腕に安心する。



………と、そこで記憶が途絶えているのだ。


状況から察するに、私はそのまま寝てしまったらしい。
そしてこの爽やかな太陽の光は……まごうことなき朝日である。


「お前なぁ……何時間寝てた?!十五時間だぞ十五時間!!」

「ひっ………すいませ……ってそもそも清貴さんがこんなゴミ屋敷状態にするからじゃないですか!!
あと何なんですか!この米の焚き具合。ほぼおかゆじゃないですか!」

「それは……母親がセットしたやつだから母親に聞いてくれ………」

婚約して最初に迎える二人の朝というのは、きっと甘い空気で愛に溢れたような…そんな朝ではないかと思う。
しかし私達は……朝食を食べながら喧嘩をしている。

どこにいった。甘い空気というやらは。


「本当になぁ…昨日の夜、うちの親達が来て大変だったんだから」

はて、清様と滋子様とがうちに来られたと。


「母親がなぁ…『あなた……子供を急ぎすぎてない?』ってそりゃもうどっかのゴシップ記者みたいに目を輝かせてだな……」

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