稲荷と神の縁結び
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「こはるちゃん!あけましておめでとう」

出勤してタイムカードを切っている最中、話しかけてきたのは有沢さんだ。
まだ八時半と少し早めに着たのに…有沢さんはもうとっくに出勤していたらしい。辺りを見回すと、有沢さん以外は誰も来ていないよう。


「あけましておめでとうございます。すいません。新年早々、お休みを頂きまして………」

「いいって!店舗からのクレーム処理ぐらいしか仕事なかったんだから」

明るく言う有沢さんを見て、あ……っと気付く。

そういえば、有沢さんには結婚を報告しとかなければいけないよなぁ。てか清貴さんはどこまで社内の人に言う気なんだろうか?
いや、有沢さんは知ってる可能性はあるけれど…やっぱり自分の口から、ちゃんと言わないと。


「あの、有沢さん。突然なんですけどお話が……」

「何?」

「実は結婚することになりまして……」

「清貴君と?」

「はいそうで、って………あれ……聞きました?」

「聞いてないけど。そっか、ようやくだねぇー」

聞いてないと言ってるが、なぜ相手が清貴さんだとわかったのだろう?
それにようやく、とは……?
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