稲荷と神の縁結び
「男女逆だけど、本当に鈍感さは似ているわー。
まぁ清貴君の不幸なところは、バックに怖ーいお兄さんが付いていたってとこじゃないかしら、ねぇ?」

有沢さんがチラリと私の後ろを見つめているので振り向くと……ついさっきまで一緒にいた、清貴さんこと社長である。



「ま、母親と違って強引に周り固めたり既成事実やら作ったあかつきには…俺は殺されてたと思うけどな。あの口の悪ーく怖ーいシスコンのオニイサマに」


あぁ……口の悪く怖いお兄さまって圭ちゃんか。
いや、そもそも……

「シスコンじゃないかと思うんですけど……」

「突っ込みどころ、何か違うと思うけどな」

呆れたように鼻で笑っているが、断じてシスコン…ではないと思う。あるとすれば次期当主としての責任ではないかと思うのだが……。


「ま、有沢さんも歓迎してくれると取っていいんでしょうか?」

「勿論ですとも、社長」
有沢さんはにっこり笑顔で、清貴さんの肩をパシパシと叩いている。
相当喜んでいただいているようで、まぁ良かった…のか……。
< 227 / 233 >

この作品をシェア

pagetop