稲荷と神の縁結び
「じゃあしばらくは、こはるを定時に上がらせて欲しいんですが」
「勿論了解ですよ。何なら今日も休ませましょうか?」
「それは有沢さんが困るでしょう?迎えに来ますので、よろしくお願いします」
そしてさっさと踵を翻して去っていく清貴さん。
私はポカンとその後ろ姿を眺めている。
何か色々、私が知らない事実も沢山出てきた気がするのだが……。
「いいじゃないの。愛されてるねぇこはるちゃん」
有沢さんは私の肩をポンと叩く。ニコニコと笑顔を浮かべながら。
「ちなみに…具合的に清貴さんのどの辺が、ですか?」
私は普段、会社に居る時には全く愛は感じていない。あの罵倒のどこが愛なんだ。
「ま、気付いてないところがこはるちゃんのいい所であり、清貴君が苦労するところねぇー」
いや、全く持って意味がわからないんですけど!
相変わらず頭にはてなマークを浮かべている私を見て、有沢さんは肩を竦ませて笑っていた。