偽装夫婦~御曹司のかりそめ妻への独占欲が止まらない~

「まぎれもなく、ヤキモチだよ」

 彼は唇を引き結んだまま、じっとわたしを見つめた。あわてて瞼をふせる。

「なに……なんで……」

 彼の視線が言葉とともに、わたしを混乱させる。

「妻にヤキモチを妬くのは当たり前だろう」

 それはそうだけれども、わたしたちは本当の夫婦ではないのに。

 瞼を上げ、彼の顔を見る。

「それくらいの権利、僕にくれてもいいよね?」

 覗き込まれた瞬間、顔がかぁっと熱くなる。

 そんなことわたしに聞かれても、判断に困ってしまう。こんな状況に今までの人生で一度もなったことがないのだから

「……お好きにどうぞ?」

 ああ、なんでこの言葉を選んだんだろう。失敗したと思っても、もう遅い。

 尊さんは、一瞬目を見開いて驚いたあと、たっぷり息をすって声をあげて笑った。

「あはは、〝お好きに〟かい? それはいいね。とてもいい」

 わたしはお腹を押さえて笑う彼を見て、ますます顔を赤くした。

「お言葉に甘えて好きにさせてもらおうかな。もっともっと好きにさせてもらう」

 尊さんの声のトーンが落ちる。

 糖度の増した大人の笑みを浮かべた彼を前に、わたしはドキドキと胸を高鳴らせるばかり。

 次からは言葉に気をつけようと、心に誓った。

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