偽装夫婦~御曹司のかりそめ妻への独占欲が止まらない~
「僕も、もっと那夕子が素直に甘えることができるように努力するから」
どうしてこの人は、こんなに優しいのだろうか。わたしを守り、傷をこうやって癒してくれる。
きちんと今の気持ちを伝えたいと思う。けれど胸がいっぱいで、あふれる思いのすべてを言葉にすることができない。
それでも大切なことだけは、ちゃんと伝えたい。
「ありがとう。大好きです」
彼の背中に回した手に、ぎゅっと力を込めた。
それと同時に尊さんがわたしの背中を撫でていた手が止まる。
「那夕子、君がそういってくれている間は、僕のすべては君のものだよ」
尊さんの腕に力が込められた。
少し痛いと感じるその強さを心地よく感じた。