偽装夫婦~御曹司のかりそめ妻への独占欲が止まらない~

 尊さんはふっと笑うと、準備をしてわたしの中にゆっくりと入ってくる。

 押し広げられる感覚に息が詰まる。

 そんなわたしを気遣って、彼は額に小さなキスをした。

 目じりに頬に、あらゆるところに、キスの嵐。

「苦しい?」

 きっと我慢してもばれてしまう。素直にうなずいた。

「でも、うれしい気持ちが大きいです。それと、尊さんにも気持ち良くなって欲しい」

 素直に伝えた。彼はわたしが素直だと喜ぶから。

「……っ、はあ。君の言葉はいつも僕の気持ちを揺さぶる。今後は少し気をつけてくれるとありがたいな……くっ」

 そう言い終えるやいなや、彼とわたしはより一層深くつながった。

 お互いの汗ばんだ肌がくっつくと、ひとつになったと思えた。

「那夕子。少し無理をさせるよ」

 律儀だなと思う。そしてそれが愛しいと思う。

 わたしがうなずくと、彼は宣言通りにわたしに無理をさせた。

 体の中で彼の存在を感じる、熱い昂ぶりがわたしの中を往復する。その熱が今度はわたしの中の女の部分を呼び覚まし、弾けさせる。

「だ、ダメ! 尊さんっ……!」

「ダメはナシで」

 そんなこと言われても、もう限界だ。

 きつく閉じた瞼の裏で白い光がはじけた瞬間、わたしは彼のすべてを受け止めた。
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