偽装夫婦~御曹司のかりそめ妻への独占欲が止まらない~
わたしは順を追って、どうしてわたしがこの川久保家に滞在しているのかをかいつまんで話をした。
神妙な顔つきで話を聞いていた中村先生は「ふ~ん、豊美さんがねぇ」とだけ言って黙ってしまう。
わたしはそこで気になっていたことをズバリ聞いた。
「おばあ様……豊美さんの言動はやはり痴呆の症状と捉えていいんでしょうか?」
「それは、詳しい検査をしてみないとはっきりとしたことは言えない」
そこまで言って中村先生は、まじまじとわたしの顔を見た。それはもう不躾なほどに。
「でも、まあ。たぶんボケてはいないと思うよ。ちゃんとまともな相手を選んでる」
「え? それってどういう意味ですか?」
「さあ、どうだろうな」
中村先生はわたしの質問に、意味ありげな笑みを浮かべただけで答えてはくれなかった。
なんだか、この人もちょっと一癖ありそうだな。類は友を呼ぶとは、昔の人はよく言ったモノだ。