偽装夫婦~御曹司のかりそめ妻への独占欲が止まらない~
「でも、二年前の台風のときに倒れてしまってね。なんとか修復をと、庭師も頑張ってくれたのだけれど、結局危ないからと伐採してしまったの」
それはとても寂しそうに語ってくれた。
「やっぱり、この時期になると恋しくなるわね」
わたしの方を見て、笑みを浮かべてくれた。けれど寂しさのにじむ笑顔は、なんだか切ない。
「そうだったんですね」
それ以上、なんと言えばいいのかわからずに、わたしは止めていた足をゆっくりと動かし散歩を再開させた。