偽装夫婦~御曹司のかりそめ妻への独占欲が止まらない~

『もしもし、那夕子? 車が届いた?』

「はい、そのことでちょっと問題が」

『もしかして気に入らなかった? 君のリクエストで小回りの利く小さな車を選んだつもりだけど。もしかして色がダメだったのかな?』

 まったくもって検討違いだ。

「あの、どうして新車が届くんですか? わたしはレンタカーかリースのつもりで相談したんですよ」

『なんだ、もしかして遠慮してる?』

「ちがいます。もったいないですよ、しかも外車だなんて」

 わたしには分不相応だ。わたしの言葉で尊さんも意図を理解したようだ。

『値段のことを言っているわけ? それなら気にしなくていいよ』

「しますよ」

『僕の知っている限り一番安全だと判断したから選んだ。大切な人が乗るのだから、そこは譲れない』

「たしかに、おばあ様の安全を考えればそうかもしれませんが」

 運転中にもしものことがあることも考えなくてはならない。尊さんの言い分も少し納得できる。
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