神様辞めます!~転生女神は平凡を望む~
「そんな……。では私はなんのために……」
フラっと崩れたナユタ皇女を側仕えであろうメイドが支えた。
皇国は同じく妾が持てる国で、現皇帝は八人の妾を持ち三十人の子どもが居る、ハチャメチャな皇帝である。
皇女だけで二十人近いのだから、嫁ぎ先探しは結構熾烈なのかもしれない……。
しかし、色々と知らないままに暴走されることほど迷惑なことはないのである……。
私とナユタ皇女の話を聞いていた、サフル王子が最後にトドメの一撃を放った。
「この国に嫁ぎたい割には、あまりにも勉強不足だね? それに、俺が愛しているのはペセルただ一人なんだ。妾なんて持つ気もないよ」
とアッサリと切り捨てたのだ。
「そんな、サフル王子はお優しい方でしたのに!」
そんな言葉にもサラッと言い返す、サフル王子は冷ややかそのもの。
「そりゃ姉が嫁いだ隣国の皇族だもの、気にかけるだろう。外交問題はごめんだしね」
ニッコリと事実だけ告げてくサフル王子は爽やかに見せかけて、全く笑っていないのだ。
こういう怒り方のタイプか……。
私はサフル王子を怒らせないように気をつけようと、胸に刻んだのだった。
イケメンの完璧王子の素顔、に見える怒りの行動はどうなるやら、恐るべし……。