キライが好きに変わったら、恋のリボン結んでね。
 目の前に広がる夏の風物詩に、私は感嘆の声をもらす。

 太陽が乱反射して無数のきらめきを放つマリンブルーの海、踏みしめるたびに指の隙間をすり抜ける白亜の砂浜。ビーチには海の家がいくつもあって、トウモロコシの焼ける香ばしい匂いやお腹に響くようなロックサウンド、笑い声で賑わっている。

「この海の近くには、私たちが泊まってるホテル以外にも宿泊施設がたくさんあるのよ」

 先頭を歩いていた美代が、私たちを振り返って説明してくれる。

 ああ、だからこんなに人が多いんだ。それに休日だからか、若者から子供連れまで年齢層も幅広い。

「知り合いだからって、俺らまでタダで来れるとかラッキーだよな」

「利用できるサービスは、使わないともったないじゃない?」

 ビーチからホテルを見上げている楓に、サラッとひどいことを口走る美代。ふたりの会話に、宙斗くんは首を捻る。

「利用できるサービスって――」

「宙斗くん、今日はありがたく楽しませてもらおうね!」

「あ? ああ……」

 宙斗くんの質問をもみ消して、私はにっこり笑いかける。

 お願いだから、ふたりとも変なこと言わないで! 宙斗くんは心に深い傷を負ってるんだからね!

    

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