キライが好きに変わったら、恋のリボン結んでね。
 驚愕している宙斗くんに、私は乾いた笑いをこぼす。またひとつ、宙斗くんにトラウマが追加されてしまう。それを危惧した私は、あえて触れなかった。

「先生はなんで、ここにいるんすか?」

「ああ、それはだな」

 楓の質問に、先生は頭をガシガシと掻きながら答える。なんでも、先生の弟さんが海の家を経営しているらしく、毎年この季節になると人手が足りないので手伝いに来ているのだとか。

「平日もお仕事なのに、土日も働くなんて大変ですね」

 働き者の先生に、私は同情してしまう。根がまじめそうだし、困ってる人はほっとけないんだろうな。

「美代、その男は誰だい?」

 私たちのうしろから声が聞こえて振り返ると、水着を身に着けたブロンドの外国人が現れる。

「ちょっと、美代の月曜日の彼氏じゃん」

 流暢な日本語で声をかけてきたのは、楓の言う通り美代の月曜日の彼氏。月曜日の彼氏と水曜日の彼氏候補の鉢合わせ。しかも美代は、東堂先生にガッツリ抱き着いている。これは、かなりマズイ状況だ。

「なんだ、宮原の知り合いか?」

「あなたこそ、美代のなんなんですか」

 きょとんとしている先生と、ピリピリしているクリスさんとの温度差が激しい。事情を知らないからか、東堂先生は丁寧にクリスさんに向かって頭を下げる。

「俺は宮原の担任の教師です」

    

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