キライが好きに変わったら、恋のリボン結んでね。
 ひとりの女子の言葉に、みんなの視線が宙斗くんに戻る。彼は戸惑いながら「あぁ」と短く肯定するように首を縦に振った。

「しかもパワーストーンとか、ペアルックものとかも考えてるんだよね?」

 宙斗くんに同意を求めるように声をかければ、彼は頭に手を当てる。

「おい、それは非公開情報だぞ、一応」

「あはは、ごめん」

 ぶっきらぼうに答えた彼の顔は、少しだけ恥ずかしそうで赤い。みんなが私と宙斗くんの話に集中しているのがわかって、そのまま続ける。

「しかもね、持ってると恋が叶うって人気なの! そんなアクセサリーを作れる宙斗くんって、本当にすごい人なんだよ!」

 力説する私にクラスメートから毒気が抜かれていくのが、柔らかくなる教室の空気で感じ取れた。

「それ、恋のお守りみたいな感じ?」

「ペアルック、彼氏とおそろいでなにかを持てるっていいよね」

 女子たちの桃色トークが始まると、あっという間に宙斗くんの印象は色を変えた。ひとりの女子生徒が、宙斗くんの座る席に近づいていって声をかける。

「ねぇ宙斗くん、それっていつ発売するの?」

「え? ああ、まだデザイン段階だから……」

「できたら買うから、ぜったい作ってね!」

「お、おう」

    

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