偽のモテ期にご注意を

恵の言葉に返答せず、視線を前のに移す。

「前野、すみませんが席を外して貰えますか」

「承知しました」

返事と同時に隙の無い身のこなしで立ち上がる前野をチラリと見たが、置鮎の容姿が気になりそちらを凝視してしまう。

『ねぇさんと同じだわ。どうして?』

前野が出て行く姿を見見送り、置鮎が口を開く。

「来て頂いてありがとうございます」

力無く話し、覚束無い足取りで、近くの椅子に腰をかける。

「昨日、ねぇさんの会社に来られたようですが、何の用だったんですか?」

「話がしたくて・・・」

表情を変えずに、息を吐くようにそっと呟く。

< 133 / 196 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop