さよなら、センセイ

一瞬でシンとする。

「教師に手を出すほど、女に不自由してねぇよ。
全部、若月先生にフラれた山中のヤツが、腹いせに言いふらしたんだよ」

「でもよぉ、火のないところに煙はたたないだろ?
叩けば、埃が出るんじゃないのかぁ?」

と言った男子生徒のエリをつかみ、ヒロは思い切り睨みをきかす。
その男子はあまりの迫力に、怯えて震えていた。

「叩けば叩くだけホコリが出るぜ。
何を今更言ってんだよ。
だけど、手も出してねぇ女のことでガタガタ言われんのは、ワリにあわねぇナァ!」

以前の荒れていたヒロを彷彿させ、教室内はシン、となった。
ヒロは男子生徒を解放し、椅子に座ると、不機嫌さを隠しもせず、ダン!と机の上に足を乗せた。

もう、ヒロを中傷する言葉は、囁かれなくなった。

あと、半年足らず。
今、ヒロが恵にしてやれるのは、彼女への思慕を誰にも知られないこと。
それだけだった。

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