お宿の看板娘でしたが、王妃様の毒見係はじめます。
カイラはふと思いついたように、庭先に出た。そうしてクレマチスを一輪摘み、戻ってくる。
「あの、よかったらあなたの髪を触らせてもらえないかしら。ふわふわしていてとても可愛いもの。このお花も似合うと思うの」
「え?」
ロザリーがびっくりしているうちに、カイラは「座って」とロザリーを椅子の前に連れてくる。そして、ロザリーのふわふわと広がる髪を掬い上げ、あっという間に編み込んでいく。そして最後にクレマチスの花を結び目に差した。
「ほら、どう?」
侍女が気を利かせて手鏡を持ってくる。
綺麗に編み込まれた髪に、ロザリーも思わずぱっと顔を晴れ渡らせた。
「すごいです! かわいい。私の髪、まとまりづらいっていろんな方から言われるのに……。カイラ様すごいですー!」
思わずいつもの調子でしゃべってしまい、はっとなって口を押さえる
すると、少し緊張していた様子だったカイラは、花がほころぶような笑顔を見せた。
「良かった。嫌がられなくて」
「そんなこと! カイラ様は器用なんですね」
「もともと侍女だもの。髪を結うのが好きだったの。王妃になってからはやめるよう言われてしまったけれど」
寂しそうに微笑むカイラに、ロザリーはなんて言っていいのか分からなかった。
「国王様の髪を整えるのも、服の準備も昔は私がしていたのよ」
「……そうなんですね」
もしかしてそれが馴れ初めなのかな……などと思っていると、黙ってこちらを見守っていたイートン伯爵がおもむろに立ち上がった。
「いやはや、案外すぐに打ち解けてくれたようでよかった」
カイラは、思い出したようにはっとして、かしこまる。
「申し訳ありません。お客様を放って」
「いやいや、今日はね、カイラ様。頼みがあって来たんですよ」
「あの、よかったらあなたの髪を触らせてもらえないかしら。ふわふわしていてとても可愛いもの。このお花も似合うと思うの」
「え?」
ロザリーがびっくりしているうちに、カイラは「座って」とロザリーを椅子の前に連れてくる。そして、ロザリーのふわふわと広がる髪を掬い上げ、あっという間に編み込んでいく。そして最後にクレマチスの花を結び目に差した。
「ほら、どう?」
侍女が気を利かせて手鏡を持ってくる。
綺麗に編み込まれた髪に、ロザリーも思わずぱっと顔を晴れ渡らせた。
「すごいです! かわいい。私の髪、まとまりづらいっていろんな方から言われるのに……。カイラ様すごいですー!」
思わずいつもの調子でしゃべってしまい、はっとなって口を押さえる
すると、少し緊張していた様子だったカイラは、花がほころぶような笑顔を見せた。
「良かった。嫌がられなくて」
「そんなこと! カイラ様は器用なんですね」
「もともと侍女だもの。髪を結うのが好きだったの。王妃になってからはやめるよう言われてしまったけれど」
寂しそうに微笑むカイラに、ロザリーはなんて言っていいのか分からなかった。
「国王様の髪を整えるのも、服の準備も昔は私がしていたのよ」
「……そうなんですね」
もしかしてそれが馴れ初めなのかな……などと思っていると、黙ってこちらを見守っていたイートン伯爵がおもむろに立ち上がった。
「いやはや、案外すぐに打ち解けてくれたようでよかった」
カイラは、思い出したようにはっとして、かしこまる。
「申し訳ありません。お客様を放って」
「いやいや、今日はね、カイラ様。頼みがあって来たんですよ」