お宿の看板娘でしたが、王妃様の毒見係はじめます。
それから数年が経つころには、それまでの採掘場所から輝安鉱を取りつくしてしまった。
これを機に、輝安鉱採掘からは手を引きたいと告げたが、侯爵は取り合ってもくれない。
仕方なく次の場所を探し始めたが、それはたやすいことではない。
サイラスはジェイコブの資料を入手するために、オルコット子爵へと近づいた。
すると彼は、ジェイコブの妻であるオードリーが、故郷の男と再婚するのを阻止したい、とサイラスに懇願し始めた。
そして、オルコット子爵家を存続させるために、やがては孫娘とウィストン家の息子のどちらかを結婚させたい、とも。
それは、サイラスに都合のいい申し出だった。
オードリーはジェイコブの研究に最も詳しい人間だ。彼の採掘方法もなにもかも、オードリーを介して入手することができるだろう。
こうして子爵家との婚姻話を進めていたさなか、サイラスはなぜかマデリン第一王妃に呼び出された。
『ウィストン伯爵は、亡くなられたオルコット教授のご友人だそうね。彼の奥さまと再婚するんですって? ねぇ、あなたに潜入してほしいところがあるの。イートン伯爵の夜会よ? 兄の目の上のたんこぶである下賤の血を引く王子には、そろそろご退場いただきたいと思わない?』
イートン伯爵家で、招待客だけの夜会が開かれるのだという。
王宮の夜会と違い、伯爵家の警備は人数的にも隙がある。
王子であるアイザックは銀器しか使わないだろうが、それこそ輝安鉱の活躍どころだ。
彼が使う食器を、輝安鉱で作られた食器にすり替える。
彼が倒れたところで素早く回収できるものと言えば、カトラリー類が適当だろう。
事件が起きれば夜会の責任者であるイートン伯爵が疑われることとなり、アンスバッハ侯爵にとっては、二重の利益となる。
そんな空恐ろしい申し出をマデリンは笑いながら言ってのけた。
それを断ることは、サイラスにはできなかった。
これを機に、輝安鉱採掘からは手を引きたいと告げたが、侯爵は取り合ってもくれない。
仕方なく次の場所を探し始めたが、それはたやすいことではない。
サイラスはジェイコブの資料を入手するために、オルコット子爵へと近づいた。
すると彼は、ジェイコブの妻であるオードリーが、故郷の男と再婚するのを阻止したい、とサイラスに懇願し始めた。
そして、オルコット子爵家を存続させるために、やがては孫娘とウィストン家の息子のどちらかを結婚させたい、とも。
それは、サイラスに都合のいい申し出だった。
オードリーはジェイコブの研究に最も詳しい人間だ。彼の採掘方法もなにもかも、オードリーを介して入手することができるだろう。
こうして子爵家との婚姻話を進めていたさなか、サイラスはなぜかマデリン第一王妃に呼び出された。
『ウィストン伯爵は、亡くなられたオルコット教授のご友人だそうね。彼の奥さまと再婚するんですって? ねぇ、あなたに潜入してほしいところがあるの。イートン伯爵の夜会よ? 兄の目の上のたんこぶである下賤の血を引く王子には、そろそろご退場いただきたいと思わない?』
イートン伯爵家で、招待客だけの夜会が開かれるのだという。
王宮の夜会と違い、伯爵家の警備は人数的にも隙がある。
王子であるアイザックは銀器しか使わないだろうが、それこそ輝安鉱の活躍どころだ。
彼が使う食器を、輝安鉱で作られた食器にすり替える。
彼が倒れたところで素早く回収できるものと言えば、カトラリー類が適当だろう。
事件が起きれば夜会の責任者であるイートン伯爵が疑われることとなり、アンスバッハ侯爵にとっては、二重の利益となる。
そんな空恐ろしい申し出をマデリンは笑いながら言ってのけた。
それを断ることは、サイラスにはできなかった。