嵐を呼ぶ噂の学園② 真夏に大事件大量発生中!編
それからというもの、わたしはすっかり元気を無くし、取り返しのつかない大失態をしてしまったという罪悪感に苛まれながら時を過ごした。
父と2人で作った料理を運び、並べ、皿が汚くなったら下げて新しいものを出して...という決まりきったルーティーンを繰返し、青柳くんや汐泉さんが好きな深海魚のように、海底で息を潜めていた。
「ねえ、ことちゃん。そろそろカラオケしない?」
「あっ...そうですね。わたしは音痴なので皆さんで歌って下さい」
「いやいやそんなこと言わないで。一緒に歌お」
慰めの言葉も園田さんと赤星くんの優しさも何もかもが苦痛。
自分で企画しておきながら、途中で投げ出すなんてとんでもないことだろうけれど、青柳くんに睨まれている気がして体が硬直し、何も出来ない。
ちらっと彼の顔色を窺うと...目があった。
慌ててそらすが、なんだか視線を感じる。
「まあ、いいや。ことちゃんが歌えそうな曲になったら混ざってきて。こっちは本気で歌って秘密、ばらされないようにするから」
そっか。
そんなルール作ってたんだ。
カラオケの採点機能で一番点数が良かった人がある人の秘密をばらす。
我ながら名案だと思ったが、今考えれば面白くもなんともない。
はあ...。
ため息を1つついた、その時。
「あの、波琉くん歌うの嫌いらしいので私が代わりに歌いますね」
「そういや、そうだったよね。波琉、昔から歌とか、そういう集団で楽しむ的なこと嫌いだったもん」
うるせえとでも言いたげな顔で朱比香さんを睨む。
ん?
いや、待て。
青柳くん、本当に睨んでる?
再び恐る恐る顔を上げ、今度はしっかりと青柳くんを見つめた。
...あっ
青柳くんは睨んでるんじゃなくて、
眠いんだ。
眠いからなんとか目をこじ開けようとしてしかめっ面になってるだけだ。
なら早く寝せてあげないと。
これからが本番だから今のうちに眠ってもらおう。
「あのぉ」
「もしかして、混ざりたくなった?」
「いえ、その...。わたしと青柳くんはアルコールが入ってしまったので一度退散しますね。2階に父もいるのでそこでしばらく休んできます」
「確かにそうだよね。酔い冷ましてからケーキ入刀しよう」
わたしは赤星くんに協力してもらい、青柳くんを2階の父の寝室に連れて来てもらった。
「んじゃあ、ゆっくり休んで。一旦、おやすみ」
「はい、おやすみなさい」
赤星くんが部屋から去ると今度はお父さんが入ってきた。
「これ、使え」
そう言って渡されたのはお父さんのお気に入りのタオルケットだった。
「俺がお前たちの代わりに歌って大いに盛り上げてくる」
「ごめん、お父さん。よろしく」
お父さんの大きな掌が頭に乗ってそのままくしゃくしゃにされた。
「止めてよ、お父さん」
「ははは!」
豪快な笑い声は一瞬で消え、部屋には静けさがよみがえった。
取り残されたわたしと青柳くん。
謝罪してから部屋に戻ろうとし、青柳くんに視線を移す。
「あの...さっきはすみませんでした」
わたしがそう言うと、青柳くんはわたしの右腕を掴んできた。
うぎょっ。
なかなかの強さに全く抵抗出来ない。
かなり恨まれてしまったようだ。
謝って許される問題でもないらしい。
そもそもこのパーティー自体青柳くんが望んだことじゃない。
友達としてなんかしてあげたいっていうわたしの心を満たすためにしているだけだ。
なら、いっそ、このままお開きにしたほうが...。
そう思って立ち上がろうとすると、思いっきり腕を引っ張られてバランスを崩し倒れてしまった。
青柳くん...大変なことになっている。
アルコールが入って暴徒化してしまったんだ、きっと。
こりゃ、まずい。
このままではわたしが殺されてしまう。
誰か...誰か助けを呼ばないと。
「赤...」
叫ぼうとしたら息が出来なくなった。
...あの、
これって、
この状態って、
き、
き、
き、
...キス!?
父と2人で作った料理を運び、並べ、皿が汚くなったら下げて新しいものを出して...という決まりきったルーティーンを繰返し、青柳くんや汐泉さんが好きな深海魚のように、海底で息を潜めていた。
「ねえ、ことちゃん。そろそろカラオケしない?」
「あっ...そうですね。わたしは音痴なので皆さんで歌って下さい」
「いやいやそんなこと言わないで。一緒に歌お」
慰めの言葉も園田さんと赤星くんの優しさも何もかもが苦痛。
自分で企画しておきながら、途中で投げ出すなんてとんでもないことだろうけれど、青柳くんに睨まれている気がして体が硬直し、何も出来ない。
ちらっと彼の顔色を窺うと...目があった。
慌ててそらすが、なんだか視線を感じる。
「まあ、いいや。ことちゃんが歌えそうな曲になったら混ざってきて。こっちは本気で歌って秘密、ばらされないようにするから」
そっか。
そんなルール作ってたんだ。
カラオケの採点機能で一番点数が良かった人がある人の秘密をばらす。
我ながら名案だと思ったが、今考えれば面白くもなんともない。
はあ...。
ため息を1つついた、その時。
「あの、波琉くん歌うの嫌いらしいので私が代わりに歌いますね」
「そういや、そうだったよね。波琉、昔から歌とか、そういう集団で楽しむ的なこと嫌いだったもん」
うるせえとでも言いたげな顔で朱比香さんを睨む。
ん?
いや、待て。
青柳くん、本当に睨んでる?
再び恐る恐る顔を上げ、今度はしっかりと青柳くんを見つめた。
...あっ
青柳くんは睨んでるんじゃなくて、
眠いんだ。
眠いからなんとか目をこじ開けようとしてしかめっ面になってるだけだ。
なら早く寝せてあげないと。
これからが本番だから今のうちに眠ってもらおう。
「あのぉ」
「もしかして、混ざりたくなった?」
「いえ、その...。わたしと青柳くんはアルコールが入ってしまったので一度退散しますね。2階に父もいるのでそこでしばらく休んできます」
「確かにそうだよね。酔い冷ましてからケーキ入刀しよう」
わたしは赤星くんに協力してもらい、青柳くんを2階の父の寝室に連れて来てもらった。
「んじゃあ、ゆっくり休んで。一旦、おやすみ」
「はい、おやすみなさい」
赤星くんが部屋から去ると今度はお父さんが入ってきた。
「これ、使え」
そう言って渡されたのはお父さんのお気に入りのタオルケットだった。
「俺がお前たちの代わりに歌って大いに盛り上げてくる」
「ごめん、お父さん。よろしく」
お父さんの大きな掌が頭に乗ってそのままくしゃくしゃにされた。
「止めてよ、お父さん」
「ははは!」
豪快な笑い声は一瞬で消え、部屋には静けさがよみがえった。
取り残されたわたしと青柳くん。
謝罪してから部屋に戻ろうとし、青柳くんに視線を移す。
「あの...さっきはすみませんでした」
わたしがそう言うと、青柳くんはわたしの右腕を掴んできた。
うぎょっ。
なかなかの強さに全く抵抗出来ない。
かなり恨まれてしまったようだ。
謝って許される問題でもないらしい。
そもそもこのパーティー自体青柳くんが望んだことじゃない。
友達としてなんかしてあげたいっていうわたしの心を満たすためにしているだけだ。
なら、いっそ、このままお開きにしたほうが...。
そう思って立ち上がろうとすると、思いっきり腕を引っ張られてバランスを崩し倒れてしまった。
青柳くん...大変なことになっている。
アルコールが入って暴徒化してしまったんだ、きっと。
こりゃ、まずい。
このままではわたしが殺されてしまう。
誰か...誰か助けを呼ばないと。
「赤...」
叫ぼうとしたら息が出来なくなった。
...あの、
これって、
この状態って、
き、
き、
き、
...キス!?