破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします
「どんな料理とか、そんな話は?」
「子供の頃に聞いたので、詳しく訊ねたりしなかったんです。食べた祖父はすでに他界してましたし……」
女将の返答に、ザックの手から逃れたノアが肩を落とす。
「えー、残念。材料とかわかれば良かったね、アーシェ」
「そうね……」
もう少しハッキリした情報が手に入れば嬉しかったが、そんなトントン拍子にいくはずもないと、アーシェリアスは苦笑いした。
そんな様子を見て、エヴァンが元気づけるようにアーシェリアス肩を軽く叩く。
「だが、実際に幻の料理を作った者がいるというのは心強い情報だ。レシピさえわかれば必ず作れるということだろう?」
前向きで希望溢れるエヴァンの言葉に、アーシェリアスの表情がみるみる輝いていく。
「そう、ね。そうだわ!」
もともと情報ゼロからの旅だった。
ちょっと躓いたくらいでなんだ。
確実に一歩前進できたのだから、またもう一歩進むため動けばいい。
「エヴァンさん、ありがとうございます。本当にその通りだわ」
悲観的な思考を振り払うと、アーシェリアスは女将に「教えてくださってありがとうございます」と明るい表情で頭を下げた。