枯れた花は何度も咲く
: Misa
私も、お花が好き。
だからこそ、彼女の辛さが、
このお花だらけの家を見て直ぐにわかった。
残酷な意味を持つマリーゴールド。
望みがない意味を持つ黄のチューリップ。
失望の意味を持つムスカリ。
信じて待つ意味を持つアネモネ。
悲哀の意味を持つレースフラワー。
彼女は、本気でお兄ちゃんが好きなんだ。
お兄ちゃんの帰りを、こうして
お花に思いを込めて、待ってるんだ。
自然と涙が出た。
色んな感情がわき出てきた。
彼女の真っ直ぐな愛を思うと、心が痛かった。
大好きなお母さんを殺したお兄ちゃんを、
あの日からずっと恨んで生きてきた。
許すつもりなど、助けるつもりなどなかった。
でも、彼女のためなら……………
「 お花に囲まれてると、
なぜだか精神が安定する…… 」
彼女は、お花を見て
悲しい笑顔で微笑んだ。
「 お兄ちゃん、あなたのこと
ほんとに愛しているんだと思う。 」
「 えっ……? 」
彼女が私の方を見る。
「 あなたに本名を教えなかったから。 」
「 ………… 」
「 犯罪者と関わったら、迷惑がかかる。
本名を知らなければ、迷惑をかけないで済む。
お兄ちゃんなりにそう考えたんじゃないかな 」
彼女は、嬉しそうな表情をした。
「 お兄ちゃんは、昔から優しかった。
2人だけの兄妹でいつも私を守ってくれた。
優しいお兄ちゃんが大好きだった。」
彼女は、真剣な表情で私の話を聞いてくれた。
「 あの日だって、私のことを助けるための
行動だっていうのもほんとはわかってる。
お兄ちゃんが助けてくれなかったら、
私今生きてないかもしれない。 」
「 みさちゃん…… 」
「 お兄ちゃんのこと、好きですか? 」
もうわかり切ってる質問をする。
「 私のパパに似てるの。 」
「 えっ、、?? 」
予想外の言葉が返ってきた。
「 初めて会った時、そう思った。
ゆうっていうのも、パパの名前。
私、初めて人を好きになったの。
始まりは偶然だった。
もし、好きになる前から
ゆうが犯罪者ってわかってても、
私はゆうを好きになってたと思う 」
彼女の言葉に嘘はないと確信した。
「 お兄ちゃんは幸せ者ですね。
こんなに可愛い彼女から愛されてて…… 」
「 そう思ってくれてたら嬉しいな… 」
「 私は、一人ぼっち…… 」
お兄ちゃんは、一人ぼっちなんかじゃない。
こんなに想ってくれる人がいるなんて、
ちょっと羨ましい。
「 私が居るよ? 」
「 えっ……? 」
「 お花が好きな人は、感性が豊か。
みさちゃんの優しさは素敵だと思う、
また、いつでもお母さんが好きなお花、
買いに私に会いに来てよ! 」
「 ………… 」
ずっと一人ぼっちで寂しかった心が、
彼女のたった一言で安らいだ。
「 私、何の役にも立てないかもしれない… 」
「 それでもいいの。
あなたの、本心を伝えて欲しいの。 」
「 また来るわ。 」
「 ええ、いつでも待ってる。
今日は突然無理なこと言ってごめんなさい… 」
彼女の家を後にする。
その足でお兄ちゃんがいる場所へ向かった。