皇帝の胃袋を掴んだら、寵妃に指名されました~後宮薬膳料理伝~

村まで送ると言われたものの、ここで見送ることにした。

大泣きした顔で村には戻れない。
しばらく気持ちを落ち着けたい。

半年お世話になった離宮の門が、ギギギーッと音を立てて閉まる。


「麗華、それでは」


劉伶さまは私の右手を再び握って持ち上げたあと、なんと唇を押し付ける。

呼吸をすることもしばし忘れて彼を呆然と見つめると、切なさの混ざった複雑な表情で微笑んでいる。

きっとまた会える。
もう泣き顔は見せたくないと、私も口角を上げた。


それから三人の姿が見えなくなるまで、必死に涙をこらえた。
けれども、とうとう見えなくなった瞬間、とめどなく涙があふれてきて止められない。


「行かないで……」


劉伶さまの前で呑み込んだ言葉を吐き出したあと、手で顔を覆って思う存分惜別の涙を流した。
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