お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
「ええっと、一応聞きますけど、俺の部屋って、今日はってことですよね……?」

「いや。半永久的に」

「っ、て、ええ!?」

どういうこと? ホテルに自分の部屋があるの? それも、こんなに豪華な……?

「このホテルは、千堂家の系列企業が管理しているから、割と自由に出来るんだ」

言葉を失くしていると、いつの間にか脇に控えていたバトラーが紅茶を注ぎ始めた。あたりに上品な茶葉の香りが漂う。

テーブルの上には三段になったケーキスタンドが置かれていて、一番上には、色鮮やかなフルーツゼリーとミニケーキ、中断には小ぶりなパンと焼き菓子、下段にはサンドウィッチ。

そして脇にあるバスケットにはスコーン、クロテッドクリーム、ジャムのセットが入っていた。

その様子はさながらティーパーティーだ。

「……おいしそうですね」

「いくらでも食べていいよ」

「さ、さすがに、今は食欲が……」

普段なら、真っ先にとびついていただろうけれど、慣れない場所に慣れない服、しかも帯がぎゅっとお腹を締めつけていて食欲が湧かない。

一番食欲を減退させた衝撃的な出来事は、柊一朗さんが想像以上にVIPだったことだけれど。
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