お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
「無理に食べなくてもいいよ。少し休憩してからパーティーに向かおう」

柊一朗さんは私の手をとり、長いソファの真ん中に座らせてくれた。

彼も斜め前に座り、コーヒーを味わい始めたのだけれど……。

彼との距離が、遠いな……。

この広いソファでは、手を伸ばしても柊一朗さんに届かない。なんだかひとりぼっちになった気がして、落ち着かない。

物理的な距離だけじゃない、心の距離も。

彼が遠いところに行ってしまったような気がして、なんだか胸がスカスカするのだった。



パーティー会場は二十五階にあった。

広々としたホールには、絵画や装飾品の数々が飾られていて、高い天井からは巨大なシャンデリアが垂れ下がっている。

見るからに一流の品を身に纏ったセレブたち。目に映るものすべてまばゆく輝いて見えて、怯んでしまう。私は緊張からごくりと喉を鳴らした。
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