お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
やがて、ひと目を忍ぶように黒いスーツの男性がやってきて、柊一朗さんに耳打ちした。
柊一朗さんは、フッとわずかにため息を漏らし、困ったように眉をひそめる。
「どうやら父の到着が遅れているらしい。すまない、澪。面倒なことを任されてしまった」
そうつぶやいて、おもむろに首元のタイを引き締める。
やがて壇上で挨拶とスピーチが始まった。水族館を経営する会社の社長が謝辞を述べ、先日私たちを案内してくれた支配人が簡単なスピーチを始める。
「すまない、澪。ここにいてくれ」
突然、柊一朗さんがそんなことを言って、会場の前方に向かって歩き出した。私はなにが起きたのかもわからず、呆然とその場に立ち尽くす。
やがて、マイクをとった司会進行役が「次は、日千興産株式会社専務、千堂柊一朗様より、祝辞のご挨拶を――」と切り出し、私はやっと状況を理解した。
到着が遅れているお父さまの代わりに、挨拶をお願いされたんだ……。
柊一朗さんは、フッとわずかにため息を漏らし、困ったように眉をひそめる。
「どうやら父の到着が遅れているらしい。すまない、澪。面倒なことを任されてしまった」
そうつぶやいて、おもむろに首元のタイを引き締める。
やがて壇上で挨拶とスピーチが始まった。水族館を経営する会社の社長が謝辞を述べ、先日私たちを案内してくれた支配人が簡単なスピーチを始める。
「すまない、澪。ここにいてくれ」
突然、柊一朗さんがそんなことを言って、会場の前方に向かって歩き出した。私はなにが起きたのかもわからず、呆然とその場に立ち尽くす。
やがて、マイクをとった司会進行役が「次は、日千興産株式会社専務、千堂柊一朗様より、祝辞のご挨拶を――」と切り出し、私はやっと状況を理解した。
到着が遅れているお父さまの代わりに、挨拶をお願いされたんだ……。