お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
壇上に上がる柊一朗さんは、まるで別人のように見えた。
権力、財力、あらゆるものを手にした、頂点に君臨するオーラが全身からあふれ出ている。
と、同時に、ロマンス映画の主演俳優のような美貌で、会場にいた女性たちの視線を釘づけにした。
もちろん、私も例外ではなく、その一挙手一投足に魅了され、自分の婚約者だということも忘れて、どこか他人事のように眺めていた。
原稿もなしに、内容を考える時間もたいしてなかったはずだろうに、すらすらと祝辞を述べ始める。
「ただいまご紹介に預かりました、日千興産取締役専務、千堂と申します。本日は、東京サンライト水族館の開業にあたり、心からお祝いを申し上げます――」
その姿があまりにまばゆく秀麗で。
別人みたい、じゃない。別人だ。私の知っている彼じゃない。
思わず身震いがした。私が軽々しく隣にいた男性は、実はとんでもない人で……。
無意識に一歩、足をうしろに踏み出してしまったとき、背後から肩に手を置かれた。
「おい」
小さな、けれどよく伸びる低い声が耳を掠める。
思わずびくっと肩を震わせ振り返ると。その人物は両手を掲げ「俺だよ、俺」と慌てて弁解した。
権力、財力、あらゆるものを手にした、頂点に君臨するオーラが全身からあふれ出ている。
と、同時に、ロマンス映画の主演俳優のような美貌で、会場にいた女性たちの視線を釘づけにした。
もちろん、私も例外ではなく、その一挙手一投足に魅了され、自分の婚約者だということも忘れて、どこか他人事のように眺めていた。
原稿もなしに、内容を考える時間もたいしてなかったはずだろうに、すらすらと祝辞を述べ始める。
「ただいまご紹介に預かりました、日千興産取締役専務、千堂と申します。本日は、東京サンライト水族館の開業にあたり、心からお祝いを申し上げます――」
その姿があまりにまばゆく秀麗で。
別人みたい、じゃない。別人だ。私の知っている彼じゃない。
思わず身震いがした。私が軽々しく隣にいた男性は、実はとんでもない人で……。
無意識に一歩、足をうしろに踏み出してしまったとき、背後から肩に手を置かれた。
「おい」
小さな、けれどよく伸びる低い声が耳を掠める。
思わずびくっと肩を震わせ振り返ると。その人物は両手を掲げ「俺だよ、俺」と慌てて弁解した。