お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
「え!? き、雉名さん!?」
スピーチの邪魔にならないように声を押し殺しながらも、内心悲鳴をあげる。
どうしてこんな場所に彼がいるのか。
しかも、彼にしては珍しくめかし込んで、髪は綺麗に整えてあるし、高級感のある立派なスーツを身に纏っている。
小さな中小企業で働いているとは思えないほどの洗練された佇まい、まさにこの会場に見合う立派な紳士に変貌していた。
彼はシーッと人差し指を立てて顔を近づける。
背伸びして彼の耳元に近づくと、私が話しやすいように腰を屈めてくれた。
「どうして、こんなところに」
「それはこっちの台詞だ、と言いたいところだったんだが」
腰を屈めたまま、雉名さんは壇上を見上げる。
「あいつ、千堂財閥の人間だったのか。なるほど。おかしいと思った」
納得したように、ふん、と楽しげに唸る。
「雉名さんこそ、どうしてここに」
「あー。株主の甥っ子でな。渋々出席させられたんだ」
「株主って……」
「新海商事っていう――」
「えっ」
思わず大声をあげそうになってしまった私の口を、雉名さんの大きな手が塞ぐ。
スピーチの邪魔にならないように声を押し殺しながらも、内心悲鳴をあげる。
どうしてこんな場所に彼がいるのか。
しかも、彼にしては珍しくめかし込んで、髪は綺麗に整えてあるし、高級感のある立派なスーツを身に纏っている。
小さな中小企業で働いているとは思えないほどの洗練された佇まい、まさにこの会場に見合う立派な紳士に変貌していた。
彼はシーッと人差し指を立てて顔を近づける。
背伸びして彼の耳元に近づくと、私が話しやすいように腰を屈めてくれた。
「どうして、こんなところに」
「それはこっちの台詞だ、と言いたいところだったんだが」
腰を屈めたまま、雉名さんは壇上を見上げる。
「あいつ、千堂財閥の人間だったのか。なるほど。おかしいと思った」
納得したように、ふん、と楽しげに唸る。
「雉名さんこそ、どうしてここに」
「あー。株主の甥っ子でな。渋々出席させられたんだ」
「株主って……」
「新海商事っていう――」
「えっ」
思わず大声をあげそうになってしまった私の口を、雉名さんの大きな手が塞ぐ。