お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
彼が降壇しても、まだ拍手は鳴りやまない。特に女性は黄色い悲鳴をあげて、降りてきた彼をとり囲んだ。
すると、ひとりの女性が一歩前へ進み出て、柊一朗さんの手をとった。
テレビや雑誌で見たことのある顔――確か有名なファッションモデルだ。
背の高いとびきりの美人で、透け感の強いドレスは禍々しいまでの色気を放っていた。
「……あれは、東原一族の名物令嬢だったか。財界のとんでもない権力者一族だ」
その女性を遠巻きに眺めながら、雉名さんが解説をくれる。
「……知っています。セレブ一家で有名なモデルさんですよね。それから、彼女の兄は――」
日千興産の、現常務。
ぞくっと背筋が寒くなった。あのセクハラ事件を起こした当事者だ。
だからこそ、セクハラ事件が公になったとき、経営幹部は死に物狂いで隠蔽し、常務を守ろうとした。
常務を敵に回すということは、東原一族を敵に回すことを意味する。莫大な財源が失われかねないからだ。
もしかして、常務もこのパーティーに来ているのだろうか。
だとしたら、私の顔を見られるのはまずい。きっと恨まれているに違いないから。
すると、ひとりの女性が一歩前へ進み出て、柊一朗さんの手をとった。
テレビや雑誌で見たことのある顔――確か有名なファッションモデルだ。
背の高いとびきりの美人で、透け感の強いドレスは禍々しいまでの色気を放っていた。
「……あれは、東原一族の名物令嬢だったか。財界のとんでもない権力者一族だ」
その女性を遠巻きに眺めながら、雉名さんが解説をくれる。
「……知っています。セレブ一家で有名なモデルさんですよね。それから、彼女の兄は――」
日千興産の、現常務。
ぞくっと背筋が寒くなった。あのセクハラ事件を起こした当事者だ。
だからこそ、セクハラ事件が公になったとき、経営幹部は死に物狂いで隠蔽し、常務を守ろうとした。
常務を敵に回すということは、東原一族を敵に回すことを意味する。莫大な財源が失われかねないからだ。
もしかして、常務もこのパーティーに来ているのだろうか。
だとしたら、私の顔を見られるのはまずい。きっと恨まれているに違いないから。