お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
雉名さんは、じっと私の不安げな顔を観察すると、なにを思ったか突然私の腕を掴み、引っ張った。
「おい」
ぶっきらぼうな声が、頭上から注がれる。
「出るぞ」
「え……?」
「いいから来い」
言うなり、私の腕を掴んだまま、出口へ向けてぐんぐんと歩き出す。
会場を後にして、ハイクオリティなフカフカ絨毯を悲しいくらい乱暴に踏みつけてホテルの廊下を突き進む。
着物の前がはだけそうで、よたよたしながら彼についていった。
「き、雉名さん!? どこへ行くんですか」
「ここにいたくないんだろ。だから俺を掴んだ。違うか」
「それは……そうですけど……でも」
だからって、柊一朗さんを置いて、ひとりどこかに姿をくらますわけにはいかない。
雉名さんの手を振り払おうとするけれど、彼の力は強すぎて、中途半端な私の決意じゃびくともしなかった。
「おい」
ぶっきらぼうな声が、頭上から注がれる。
「出るぞ」
「え……?」
「いいから来い」
言うなり、私の腕を掴んだまま、出口へ向けてぐんぐんと歩き出す。
会場を後にして、ハイクオリティなフカフカ絨毯を悲しいくらい乱暴に踏みつけてホテルの廊下を突き進む。
着物の前がはだけそうで、よたよたしながら彼についていった。
「き、雉名さん!? どこへ行くんですか」
「ここにいたくないんだろ。だから俺を掴んだ。違うか」
「それは……そうですけど……でも」
だからって、柊一朗さんを置いて、ひとりどこかに姿をくらますわけにはいかない。
雉名さんの手を振り払おうとするけれど、彼の力は強すぎて、中途半端な私の決意じゃびくともしなかった。