お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
「あんたみたいなごく普通の女の子が、あいつの隣にいたって、幸せになれるわけがない」

その言葉に、胸が痛む。もしかしたら、その通りかもしれない。

「別に、金や名声がほしいわけじゃないんだろう。だったら止めておけ。苦しむだけだから」

そう告げて、雉名さんは私をエレベーターの中に押し込もうとする。

「待って! 私、勝手に行くわけには」

だって、柊一朗さんが心配する。俺から離れるな、そう言ってくれたのに。

「言っただろ。これ以上深入りするなって。今ならまだ間に合う」

私をエレベーターの奥へ押しつけて、雉名さんは威圧するように説き伏せる。

けれど……私はぶんぶんと首を横に振った。

今ならまだ間に合う? ううん、もう遅い。彼のことを愛しているもの。

そして彼も、私のことを愛してくれている。

彼の悲しむ顔を見たくない。私のせいで、彼を苦しめたくない。
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