お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
「柊一朗さん……!」

強く抱きしめられ、温もりに安堵しながらも、途端に腕がガタガタと震え始めた。

緊張が一気にほぐれ、視界が涙で滲む。本当はすごく、心細くて怖かった。

でも、どうしてここがわかったのだろう……?

その疑問に答えるかのように、柊一朗さんは手に持っていた部屋のカードキーを常務に向けて掲げた。 

「彼女の姿を見つけたあなたが、復讐から強引な手段に出る可能性を予測して、あらかじめ監視していました。使用している車、宿泊先の部屋番号と合鍵、あなたが使いそうな手段はすべて押さえさせてもらいました」

柊一朗さんは、私を支え立ち上がらせると、常務を冷淡に見つめて告げる。

「それで。彼女を捕えてなにをしようと? 返答次第ではただでは済みませんよ」

ひと睨みするだけで相手の心臓を串刺しにするような鋭い眼差しで、柊一朗さんは常務を牽制する。

「……専務は、ご存知なのですか!? この娘が過去になにをしたのかを。この女は金のために、我らが日千興産を売ろうとしたのですよ!?」
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