お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
柊一朗さんは常務に侮蔑の眼差しを向けた。

自慢の妹に価値がないと言われ、常務はギョッと目を剥く。

「私は、あなたを相手にしても引くことのない、彼女の真っ直ぐな正義感がなによりも価値のあるものだと考えます。私が生涯連れ添いたいと考える女性は、彼女です」

柊一朗さんは私の肩を力強く抱き寄せて、顎に手をかけキスを落とした。

突然のキスと熱烈な告白に心が震える。

常務はギッと柊一朗さんを睨みつけると、とうとう本性を現して、フン、と鼻で笑った。

「安い女にほだされおって、若造が」

柊一朗さんの視線がよりいっそう鋭くなる。けれど、開き直った常務も負けてはいない。

「では、お前の父親はなんと言うかな。直接聞いてみるといい。そろそろこの部屋に到着する時間だ」

そのとき、来客を知らせる部屋のブザーが鳴り響き、私たちは顔をあげた。

「到着したようだ」

常務はうそ寒い笑みを浮かべて、部屋のドアを開ける。

そこに立っていたのは、威厳漂うダブルのスーツに身を包んだ柊一朗さんのお父さま、千堂総一社長だった。

背後に従えているブラックスーツの背の高い男たちは、部下、あるいは護衛だろうか。
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