お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
「こんな場所に呼び出して、なんのつもりだね。よっぽど大事な話なんだろうな」

部屋に足を踏み入れた社長は、私と柊一朗さんの姿を見つけると、おや、と眉をひそめた。

「柊一朗と……澪さん。いったいこんなところでなにをしているんだ」

そこへ、私たちと社長の対角線上に常務が割り込んできた。

「社長はこの娘の正体をご存知ですか!? 二年前、金のためにセクハラ疑惑をでっちあげ、マスコミに流し、会社に泥を塗った浅ましい女ですよ!」

まるでそれが自分の手柄であるかのように、常務が自信満々にまくしたてる。

「その上、社長や息子さんまでたぶらかして婚約だなんてとんでもない真似を! 息子さんには、我が妹の方が釣り合います! ぜひ、妹との縁談を――」

「東原常務」

饒舌に語り続けていた常務を、社長が冷えた声色で遮った。

ついさっき柊一朗さんが浮かべていたものとそっくりな眼差しで、社長は常務を睨みつける。

「セクハラ疑惑――と言ったな。それは事実ではないのか?」

あまりの迫力に、思わず私でさえ呼吸が止まりそうになった。もちろん常務はその場に固まって、言葉すらうまく発せずにいる。
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