お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
混乱状態に陥っている常務の脇をすり抜け、社長は私たちの元へ歩み寄り、私と柊一朗さんの肩をポン、と叩いた。

まるで、すべてを任せる、とでもいうように。

社長の凛然とした眼差しが私へ向けられ、ゆっくりと言葉が紡がれる。

「澪さん。あなたが二年前、我が社のセクハラ問題を訴えたことは知っていた。だからこそ、私はあなたと息子の縁談を快く受け入れたのだ。
頑固で、真面目で、一度決めたことをガンとして曲げないうちのバカ息子を支え、ときに正すには、あなたのような意思の強い女性でなければ務まらないと、ずっと考えていたんだ」

その眼差しがふっと緩くなり、目尻に皺が浮き上がる。

以前にも見せてくれた穏やかな表情で、私に向けて微笑みかけた。

「あなたにまで重責を背負わせてすまない。だが……どうか息子を頼む。あなたの手で、支えてやってくれ」

じん、と胸が熱くなる。

社長は、私のことを拒んだりなどしなかった。

二年前の私の行動を受け入れた上で、柊一朗さんの隣にいることを許してくれた。

私が柊一朗さんのパートナーに相応しいと、そう判断してくれたのだ。
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