お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
「大丈夫です。……お着物がちょっと着崩れちゃいましたけど」

「その程度で済んでよかった。……田中。部屋に着付けの出来るスタッフを用意しておいてくれ」

脇に控えていた田中さんは、「承知しました」と綺麗な角度で一礼し、部屋を出ていく。

私たち以外誰もいなくなったその部屋で、柊一朗さんは「やっとふたりきりになれた」と目元を緩め、私の体を思いっきり抱きしめた。

「澪……」

柊一朗さんの腕が、ぎゅうっとお着物に食い込んで、うれしいけれどちょっと苦しい。

「あの……柊一朗さん、い、痛いです」

「心配したんだ。突然行方をくらますから」

「ごめんなさい……」

私を抱き竦める腕の力から、彼がどれだけ私のことを心配してくれていたのかがわかる。うれしくて、切なくて、それから、本当に謝りたくなった。

「私、もう、どこへも行きませんから」

彼の体に手を回し、きゅっと服を掴む。もう本当に、彼の元から離れるつもりなんてない。

私は一生、この人についていきたい。
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