お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
「もう、離れたりしませんから、許して」

殊勝な私の姿に、彼はクスリと笑みをこぼし、優しく頭を撫でた。

「これで澪は、俺の元から逃げるチャンスを失った。後悔していない? 雉名とともに行かなかったことに」

「あのとき、正直言って迷っていたんです。私は、あなたの隣にいてもいいのかなって。壇上に立つ柊一朗さんの姿があまりにも立派すぎて。でも――」

顔を上げ、しっかりとした意思を持って彼を見上げる。

「おかげで腹をくくれました。柊一朗さんへの気持ちは、なにが起きても変わらないんだって」

「……ありがとう」

彼は、安堵したように目元を緩める。と同時に、唇を押し当てられ、あまりの勢いにベッドへ横倒しになってしまった。

スイッチが入ったかのように、柊一朗さんは私の顔の横に手をつき、貪るような口づけをくらわす。

「んんっ……あっ……う……」

思わず絶え絶えな吐息を漏らすが、背中に大きな帯の結び目が当たって苦しくて、力を抜くことができない。

「柊……一朗、さん……お着物が……乱れちゃう……」

「ちょっとぐらいいいだろう。どうせ後で着付けし直すんだ」
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