お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
私の額をかきあげてキスを落とし、目元、鼻先、口元を順番に辿っていく。メイク直しも必要かもしれない。

顎の下に唇を当てたところで「悔しいけれど、これ以上は無理だな」と私の半襟を忌々しくひっぺがし、ギリギリのところに強く唇を押し当てた。

服の形状を維持できる限界まで絡み合った後、私たちは揃って部屋を出た。

今もたらされた甘くて濃密なスキンシップに、この部屋に辿り着いたとき以上に疲労感が満載で、膝がガクガクする。

廊下に出ると、部屋から少し離れたところに、背の高い男性が壁にもたれ立っていた。

その顔を見て、驚きに声をあげる。

「き、雉名さん!」

雉名さんは少しだけ申しわけなさそうな顔をして、柊一朗さんに目を向けた。

「片付いたのか? さっき、おたくの社長も来てたみたいだが」

「ああ」

「……まったくあんたも、狙われているならさっさとそう言え。護衛がついていると知っていたら、連れ回すような真似しなかったのに」

べし、と雉名さんが私の頭をお決まりの調子ではたく。

どうやら雉名さんは、私を会場の外に連れ出して危険な目に遭わせてしまったことを申しわけなく思っていたみたいで――。
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