お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
彼は怪しげに目を光らせて、私をじっと見つめている。眼差しが痛い。

せっかくだから、目の前に置かれたコース料理を見つめればいいのに。

ほら、このアミューズ、モッツァレラチーズとハーブの上にトマトのシャーベットソースがかかっていてものすごくおいしそうでしょ?

「わ、わー、おいしそうですね!」

とり繕うように感嘆の声をあげると。

「うん。立花さんもとってもおいしそうだけど」

思わずとり落としたナイフがお皿に当たってカシャーンという音を響かせる。

私がおいしそうって、どういう意味……? それ人間に対する形容詞じゃない。

せっかくの高級フレンチなのに、彼の視線が気になって集中できない。

「……もっとかわいい子とか若い子とか、いっぱいいるのに、どうして私をからかおうとするんですか」

「だから、本気だって言ってるのに」

彼はシャンパンを持つ手を止めて、苦笑する。

「立花さんに一目惚れしちゃったって言ったら、信じてくれる?」

「ひ、ひと――っ」

引きつって首を左右にブンブン振る私を見て、彼はニッコリと目を細めた。
< 33 / 294 >

この作品をシェア

pagetop