お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
ふと正面のソファに目をやれば、彼のジャケットと私のカーディガンが昨日のまま脱ぎっぱなしになっていた。

皺になっちゃう。せめてハンガーにかけてあげないと。

クローゼットはどこだろう。寝室かな? キョロキョロと辺りを見渡しながら、彼のジャケットを手にとり、パンパンと皺を伸ばしていると。

叩いた拍子にポロッと、胸ポケットから折り畳み式のカードケースが飛び出してきた。

ラグマットの上に落ちて一回転し、中身を上にしてパカッと開く。

拾い上げると、予期せず中に入っていた免許証が見えてしまった。

写真はもちろん穂積さん。免許証の写真はだいたいひどいと相場が決まっているのに、そんなジンクスをものともしない仕上がりだ。元がいいと写真写りなんて関係ないらしい。

ふと目線をずらしたところで、気になるものが目に入ってきて手を止めた。

それは名前――彼のフルネームは『穂積柊一』のはずなのに、『千堂柊一朗』となっている。

千堂柊一朗って……誰?
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