お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
「澪?」

目を逸らし続ける私を、彼は訝しげに覗き込む。

「柊一さん……」

声が震えて、顔があげられない。

今の私の目は、きっと真っ赤に充血していて、みっともなく潤んでいるだろう。

「私……考えたんですが……」

彼のことを好きになってしまった。もっとそばにいたい。

けれど、日千興産の専務である彼と私が一緒にいるわけにはいかないから。

「……やっぱり私、柊一さんと一緒にはいられません」

ぴくりと、目の前の体が反応する。

顔は見られないけれど、きっと驚いた表情を浮かべているんじゃないかと思う。

「澪……?」

掠れた声が頭上から振ってきて、困惑した。予想以上に、ショックを受けているような声だったから。

彼の腕が私の両肩を掴む。

「どうしてそんなことを言うんだ?」

「……その、いろいろと、考えて」

「いろいろって、なに?」

きゅっと唇をかみしめた。

彼と別れたい理由なんて、なにひとつ見つからないよ。ただ、嫌われるのが怖いだけ。
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