天然お嬢様の恋はどこまでもマイペース
お母様が倒れたと聞いたときには随分心配したけれど、思ったより元気そうで安心した。

その後も、「いいから持って帰りなさい」と野菜やお花を用意してくださった。

私も久しぶりののどかな景色に、お庭の散歩をさせてもらった。

「爽子さん。お花ここに置きますね」
包んでもらったお花を手に、夏輝さんが声をかけた。

「ありがとうございます」
お礼を言って縁側に腰掛ける。

「ごめんなさいね。気分を悪くさせましたよね」
「いえ、そんな」
勝手に着いてきたのは私の方なんだから。

それに、お母様も夏輝さんを気にかけていらっしゃるし、2人が会うのを止めることなんて誰もできない。

「泰介は、あなたのことが好きなのね」
「へぇ?」
思わず変な声が出てしまった。

「さっき、叱られたの。付き合っている人がいるって伝えてあったのに、なぜ黙ってここに来たのかって。せめて事前に知らせるべきだろうってね」
「そんな・・・」
それは泰介の言い分が一方的すぎる。

でも、それ以上に夏輝さんが意地悪。
この話の流れからすると、泰介さんと夏輝さんは最近会っていた。
そのことをさりげなく私に伝えようとしている。

「ごめんなさいね。これから気をつけるから」
「はあ」

それは、今度来るときには事前に泰介に連絡しますって事だろうか?
・・・嫌だな。

「もう、ここには来ない方がいい?」
「えっ?」
それを私に聞くって・・・

「爽子さん?」
黙ってしまった私を、夏輝さんが見ている。

「あの・・・お母様も夏輝さんの事を気にかけていらっしゃるみたいですし、また顔を見せてあげてください」
精一杯強がって言った。

そして、私は気づいた。
夏輝さんは泰介のことが今でも好きなんだわ。
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