天然お嬢様の恋はどこまでもマイペース
「もう、いいです」
すっかり酔いの回った爽子さんが、1人歩き出した。

さすがに、追いかけて機嫌を取る気にはならず、だからと言って放ってはおけず、俺は数メートル後ろを歩く。


あ、あー。
時々ふらつく後ろ姿を、ヒヤヒヤしながら見守る俺。
何してるんだか。


「あれ、彼女1人?」
すれ違いざま、ぶつかりそうになった大学生の集団が爽子さんに声をかけた。
「・・・」
当然、爽子さんは反応しない。

「ねえねえ、一緒に飲もうよ」
「・・・」
「なあ、無視するなよ」
「離してくださいっ」
いきなり腕を掴まれ、声を上げた爽子さん。

ったく。
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