天然お嬢様の恋はどこまでもマイペース
「おい」
眉間にしわを寄せた俺が、大学生の集団から爽子さんを奪う。

一瞬、彼らの表情が険しくなったが、俺の威圧的な態度に何も言うことはなかった。
これでも一応会社の経営者だ。
それなりに修羅場だってくぐってきた。
その気になれば、凄みだって睨みだってきかせられる。

「オイ、行こうぜ」
大学生の1人が声をかけ、集団は逃げるように消えていった。

フン。ガキが・・・

それにしても、
ふと、頭1つ小さな彼女を見下ろす。
あれ?
「爽子さん、大丈夫?」
「はぁい、だぁいりょうぶれーす」
はあ?
完全に目が据わっているじゃないか。

「ほら、もう帰るよ」
ちょっと強引に爽子さんを引き寄せた。
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